いらっしゃいませ、「やられたんこぶーたのおしゃべりcafe。」へようこそ。
耳が遠い家族との会話に悩んだことはありませんか?
何度も聞き返される。大きな声で話す。伝わらない。だんだん話しかける回数も減ってしまう。
でも、本当は話したくないわけではないんですよね。
聞こえない本人も大変ですが、伝えようとする側も大変でお互いにフラストレーションがたまる日々。
私も祖母の耳が遠くなってから、どうすれば会話ができるのか試行錯誤の日々でした。
そんな私の試行錯誤の日々をまとめました。今まさに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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まずは身振り手振りで伝えようとした
最初から機械を探したわけではありませんでした。
大きな声で話したり、口を大きく開けたり、身振り手振りを使ったり。
少しでも伝わればと思っていたのですが、思うようにはいきませんでした。
そもそもこちらを見てくれないこともあります。口の動きや身振りで伝えようとしているのに、それが伝わらない。すると、だんだん会話そのものが苦しくなっていきました。
聞こえるようにと思って声を大きくすると、怒鳴っているようになってしまう。
そして、お互い嫌な気持ちになってしまう。何度も大きな声を出していると喉も疲れるし、イライラもしてきます。
近所には怒鳴っているように聞こえているんだろうな、と毎日周りの目が気になりました。
作戦1:ホワイトボード
最初に試したのはホワイトボードでした。
ただし、会話を全部文字でやり取りしていたわけではありません。
「明日の病院は○時には出発したいからそれまでに準備してね」「今日の夕ご飯は○時以降になる」
など、漏れなく伝えておきたいことを書いて見せて、最後に「分かった?」と確認し、お互いの認識を合わせるということを行いました。
今振り返ると、ホワイトボードよりも子ども用のお絵かきボードの方がおすすめです。
ホワイトボードはペンが必要ですし、インクが切れれば買い足さなければなりません。消すのも意外と面倒で、使っているうちにだんだん汚れてきます。
その点、お絵かきボードはペンもセットになっていることが多く、紐でつながっているので失くしにくいです。インク切れの心配もなく、手や服を汚すこともありません。
購入時の価格は少し高く感じるかもしれませんが、長く使うことを考えると、結果的にはコストもかからないように思います。
このホワイトボード作戦は、確実に伝わるという意味では効果がありました。ただ、しばらく使っていて気付いたことがありました。ホワイトボードでできるのは連絡事項の共有です。会話ではありません。
今日あった出来事を話したり、テレビを見ながら笑ったり、昔話をしたり。
そういった何気ない会話までは戻ってきませんでした。
私は「伝える」だけではなく、「話したい」と思っていたんだな、と気付かされました。
そこで、会話そのものを取り戻せる方法を探し始めました。
作戦2:小型のボタン電池式集音器

次に試したのは、耳の中に入れる小型のボタン電池式集音器でした。
昔のことなので商品名は分からなくなってしまいましたが、よくある超小型タイプです。ネットで購入したもので、たしか3万円以内だったと思います。交換用ボタン電池も最初から多めに付属されていました。
実際に使ってみると、確かに聞こえやすくはなったようでしたが、会話だけでなく、コップを置く音や食器の音なども以前より大きく聞こえるようになり、「ちょっとうるさい」とあまりうれしそうでなかった印象にせっかく買ったのに!といじけたことを覚えています。
私自身も試しにつけてみて、「大きく聞こえるからいいな」と思ったのですが、本人の感じ方はまた違ったようです。
さらに、本体がとても小さいため扱いづらさもありました。
音量調整や電源操作そのものは難しくないのですが、なにせ小さくて扱い辛い。
聞こえることと、無理なく使い続けられることは別なんだなと感じた最初の集音器でした。
聞こえるようにはなったものの、使い続けるまでには至りませんでした。
作戦3:少し大きめな充電式集音器

小型の集音器を試してみて、私なりに分かったことがありました。
それは、祖母には「小さくて目立たないこと」よりも、「扱いやすいこと」の方が大切だということです。
また、ボタン電池の交換も本人だけでは難しく、できれば充電式の方が良いとも感じていました。
そこで次に選んだのが、前回の集音器よりも大きめな充電式の集音器でした。
正直なところ、この頃には「買っても使わなくなるかもしれない」という不安もありました。
それでも何か試してみたいと思い、探して見つけたのが前回よりも大きめの充電式集音器でした。
購入した集音器は片耳用が1台ずつ販売されているタイプで、両耳で使うには2台必要でした。
最初から両耳分を揃えるのは少し勇気がいったため、まずは片耳だけ購入して試してみることにしました。
実際に使ってみると、小型タイプより扱いやすかったようで、しばらくは重宝していました。
ところが、半年ほど経った頃に「充電できなくなった」と言われます。
個体差だったのか、たまたま故障してしまったのかは分かりません。実際、レビューを見ると長く使えている方もいたので、運が悪かっただけかもしれません。祖母も使う気がなければ、わざわざ「充電できなくなったよ」と伝えてくることはなかったと思います。
そう考えると、この集音器自体は気に入って使ってくれていたのだと思います。
ただ当時の私には、「もう1台買ってみよう」と思い切る余裕はありませんでした。
ようやく見つけたと思っていたこともあり、少し残念な気持ちになったのを覚えています。
葛藤の中で続けた試行と気づき
充電できなくなったと聞いても、すぐに次を探そうとはなりませんでした。当時の私は大学生で、経済的に余裕があるわけではありませんでした。それでもなんとかしたくて、調べて購入し、費用はすべて私が負担して、祖母に渡していました。
でも正直なところ──
「また私が探して、また私が買うのか」という気持ちがあったのも事実です。
祖母本人が困っていないわけではないけれど、強く「次も欲しい」とも、お金のことを言われることもない。家族の中でも、誰かが積極的に動くわけでもない。
それでも、聞こえにくさが人との距離を少しずつ広げている現実だけは、ずっと気がかりでした。
「もういいかな」と思う気持ちと、「このままは嫌だな」という気持ちが行ったり来たりしていました。
結局は以前のように大きな声で話すしかなくなっていきました。
そんな中で、「死んでほしいんでしょ」と言われたことが一度だけありました。
会話の流れとはまったく関係ない一言に、非常にショックだったことを今でも覚えています。その夜にはそんな人でないと思いつつ、自殺していないか怖くて眠っている様子にほっとしたことも忘れません。
そのとき、「今までの会話も、ずっとそういうふうに受け取られていたのかもしれない」と思いました。
こちらとしては伝えているつもりでも、相手にとっては“怒られている”ように感じられていたのかもしれない。
やりきれなさと、「なんで私だけが背負っているんだろう」という気持ちが重なっていきました。
結局、その頃の私は少し距離を置くことにしました。正直なところ、もう十分やりきったという気持ちもありました。
それでも、耳が遠くなったことで会話の輪から少しずつ離れていく祖母の姿が、ずっと気がかりでした。
そんな日々を過ごしていた時に、たまたま見ていたTVで対話支援スピーカー「コミューンcomuoon」の存在を知ります。
コミューンは、話し手の近くにマイクを置き、聞き手の方向にスピーカーを向けて使う製品です。
耳に機器をつけなくても、話し手の声を聞き取りやすく届けられるというもので、「聞こえない側が頑張る」のではなく、「会話そのものを助ける」という発想がとても印象に残りました。
また、周囲に大きく音を響かせるのではなく、聞きたい人に声を届けやすくする工夫がされている点にも魅力を感じました。
集音器は、聞きたい声だけを大きくしてくれるわけではありません。生活音や雑音も一緒に大きく聞こえます。
今までの集音器は、「聞こえるようにするもの」というこちら側の感覚だけで見ていたけれど、実際には“聞こえること自体が負担になることもある”という視点が抜けていたのだと気づかされました。
コミューンは実際に施設や窓口などでも使われているようで、個人レビューよりも導入実績がそのまま信頼性になっているタイプの製品だと感じました。「合うなら確かにいい投資かもしれない」と感じる部分もありました。
ただ、レンタルもしているようでしたが、いずれにしても私からするとお試しでという価格ではなかったのとレビューも少なく、導入には慎重にならざるを得ませんでした。
結局、興味はありながらも、購入には踏み切れませんでした。
作戦4:ついに見つけた「聴六(ちょうろく)」
そんな試行錯誤の末に、ネットの口コミを頼りに出会ったのが、プリモ社の「聴六(ちょうろく)」というアイテムでした。
「病院で初めて知って良かった」という声があり、価格もお手頃だったので、最後にこれでダメなら……という思いで購入しました。
この集音器は、受話器のように、必要な時だけ耳に当てて使います。
常に耳につけているタイプだと「雑音がうるさい」という負担がありますが、これは「聞きたい時に、受話器のように耳にカチッと当てる」というスタイルです。 昔、黒電話などで受話器を当てて話をしていた世代の祖母にとっては、この「必要な時だけ耳に当てる」という動作がとても馴染みやすかったようです。
実際に使ってもらうと、音量を最大にしなくても「中」の設定で十分聞こえたようでした。
「聞こえる!」
そう言った祖母の目がパッと輝いたのを、今でもよく覚えています。
あまりの嬉しさから、近くにいた猫にまで受話器を当てて聞かせようとしたくらいです(笑)。
もちろん阻止しましたが🫣、その時の表情は今でも忘れられません。
この「聴六」は、ただ耳に当てるだけではダメで、スイッチをONにしたうえで、耳にグッと押し当てることで中のスイッチが『カチャッ』と入る仕組みになっています。
そのため、使い始めの頃は「聞こえない」と言われて確認してみると、押し当てが浅くてスイッチが入っていないだけ、ということが何度かありました。
そんな最初のちょっとした慣れは必要でしたが、このアイテムのおかげで、それまで難しくなっていた祖母との会話が再びできるようになりました。
また、耳の穴に入れるタイプではないというのも、良かったポイントでした。
受話器のように耳に当てるだけなので、家族が少し借りて試したり、人に「ちょっと使ってみる?」と渡したりすることへの抵抗感があまりありません。
耳に直接入れるタイプだと衛生面が気になることもありますが、その点は気軽に使いやすかったように思います。
実際、祖母の長寿祝いの席で親戚にも試してもらいました。
その場には80代を超える親戚が4〜5人いたのですが、「なにこれ!」、「すごい聞こえる!」、「これいいね!」と、みんな大興奮。中には高価な補聴器を使っている方もいましたが、大好評でした。
さらに、普段使いする上でありがたかったのが、駆動するのが「単四電池2本」という点です。 スーパーやコンビニなど、どこでも手に入りやすい上に、決して燃費(電池の持ち)が悪いという印象もなく、お財布にも優しくて家族としてもすごく扱いやすかったです。
もちろん全員に合うとは限りませんが、あんなに悩んでいた会話のすれ違いが解消されて、お互いに無理なく言葉が通じ合い、だんだん減ってしまっていた日常のたわいもない会話が戻ってきたことは、本当に嬉しい変化でした。
ただし、聴六がすべての人に合うとは限らないとも感じています。
我が家ではとても助けられましたが、耳に押し当てて使う必要があるため、握力が弱い方や、自分で持ち続けるのが難しい方には使いづらいかもしれません。
実際、祖母も親戚が集まる場などでは長時間持ち続けるのが大変で、私が横で支えたり押し当てたりしていました。
そのため、寝たきりの方や、手を自由に動かしづらい方の場合は、別の方法の方が合うこともあると思います。
「聞こえるか」だけでなく、「無理なく使えるか」も大切だと感じています。
さいごに
耳が遠くなると、本人も大変です。
そして、支える家族も大変です。
私もたくさん遠回りをしましたし、失敗もしました。
それでも諦めずに試したことで、祖母との会話を取り戻すことができました。
高い補聴器だけが正解とは限りません。
もし今から探すなら、聞こえ方だけでなく、
- 操作のしやすさ
- 電池交換のしやすさ
- 充電のしやすさ
- 装着の負担
といった点にも注目すると選びやすいかもしれません。
また、この記事を書くにあたって改めて調べていて知ったのですが、私が当時購入していたものは「補聴器」ではなく「集音器」でした。
補聴器は医療機器、集音器は周囲の音を大きくする機器という違いがあるそうです。
補聴器だけで探していた方は、集音器も合わせて見てみると選択肢が広がるかもしれません。
その人に合った方法が見つかれば、また笑って話せるようになることもあります。
私の経験が正解というわけではありません。
ただ、同じように悩んでいる方が選択肢を探すときのヒントになれば嬉しいです。
なお、この記事で紹介している商品は、「聴六」以外、当時使っていたそのものではありません。
当時の経験をもとに、現在購入できる商品の中から「今選ぶならこれかな」と思ったものを掲載しています。※コミューンcomuoonは未使用ですが、実際に提供されている対話支援スピーカーとして参考までに掲載しています。
「やられたんこぶーたのおしゃべりcafe。」にご来店くださり、誠にありがとうございました。
またのご来店を心よりお待ちしております☕


